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洋裁CADの世界観

洋裁CADは普通の2次元CADとは描き方が異なります。
容易に変更できることを目的としたCADなので、変更できるように考えながら組み立ててゆく必要があります。
線を引くというよりは、積み木を積み上げてゆくイメージで型紙を構成します。
一言でいえば、3次元CADを操作する要領と同じです。3次元CADを知っている人であれば、これだけで理解できるでしょう。
3次元CADは敷居が高く、覚えるのに時間がかかります。その理由は、「CADの世界観が現実世界と異なるため」です。
私は3次元CADを教える仕事をした経験がありますが、早く覚えてもらえるコツはこの世界観を理解してもらうことでした。
洋裁CADを使う前に、このCADの世界観を知っておけば、早く覚えることができますので、ここで説明してゆきます。

洋裁CADの世界と目的

普通のCADでは、CADの画面は紙として考えます。
パソコン画面を紙の代わりに使うのです。
こうすることのメリットは...
 ○紙のようにサイズがない。
 ○コピペが容易。
 ○何度消しても汚れない。
 ○別ファイルに保存して別の型紙を製図できる。
こんなところでしょうか。いずれにせよ、2次元CADとなにか?と問われれば、「紙をモニターに差し替えたもの」と答えれば正解です。

洋裁CADでは、画面を一つの独立した世界としてとらえます。
そしてこの世界にいくつかのルールを設け、この世界に生まれる要素たちにこのルールをあてはめます。
型紙ではわかりにくいので、積木の世界として考えましょう。
ある独立した世界があって、その世界の神であるあなたはいくつかの積木を生み出し、それを組み合わせて家を作りました。
積木の世界

こんな感じです。
あなたは神なので、後から積木の具合を変えることができます。
積木の世界

柱に使っている積み木を変更すると...軒の高い家に作り変えることができます。
このCADを使う利点は一度作ったものを変更して、容易に別のものを作りだせることにあります。
もし「私は一度型紙を書いたら変更はしませんよ」という方がおられたら、このCADを使うメリットはないので、他のフリーソフトを使うことをお勧めします。
変更するのは、一見簡単そうに見えますが、よく考えて積木をのせていかないと...
積木の世界

こんな風に意図しない結果になってしまうことがあります。
神であるあなたはこの世界から混乱を取り除き、調和のある世界に整える必要があります。

調和した世界とはなにか

CADで原型製図

この型紙は、文化式の製図方法で男子原型を描いたものです。
文化式では、最初に胸囲、背丈、ウエストの3つの寸法を決め、その後さまざまな線を寸法にしたがって書いてゆきます。
洋裁CAD上で文化式の教科書通りに製図したのが上の図です。色のついた型紙は、製図後に3つの寸法をそれぞれ後から変更したものです。
「一つの寸法を変えただけで、別の型紙を自動的に整えることができる」こうした世界を「調和した世界」と考えます。

この考え方は、私が仕事で使っているさまざまな3次元CADの考え方なのですが... まったく異なった方向からアプローチしている文化式製図法の考え方とピッタリ一致しています。面白いですね。
洋裁を始めたころ、原型というものがあることを知り、製図してみてこの一致を知って驚愕しました。 この驚きが洋裁CADを作ろうと思ったきっかけになっています。
【まとめ】
 洋裁CADの画面は特有のルールが支配する2次元世界である。
 CADを使うあなたはこの世界の神様である。
 神様の目的は、この世界を調和した状態に仕上げることである。
 この目的を達成するために、神様は世界に変更を加え、再構成することができる。

洋裁CAD世界のルール

先ほどの積木世界での調和していない状態を直すには、どうしたらよいでしょうか?
答えは積木間で情報を共有することです。 「積木Bの高さは積木Aと同じ」というルール設定しておけば、積木Aの高さを変えてもBは追従してくれます。名案ですね。
しかし、このルールだけでは困ったことに陥ります。
Aの高さ=Bの高さとして、うっかりBの高さ=Aの高さ、としてしまうと無限ループに嵌ってしまいます。
これを避けるために、この世界に因果律を定めます。積木は順番に積んでゆきます。 上に乗る積木(子)は先に置いた下の積木(親)の遺伝子を受けとりますが、 下の積木(親)は子の遺伝子を受け取れないものとします。
(ただし、一部の子は親を作り変えることができます。遺伝ではなく変更です)
我々の住む世界では、上に乗る積木が重ければ下の積木がつぶれてしまいますが...それを許すとこの世界が複雑になりすぎてしまうのです。

積木の高さが同じと書きましたが、別途ものさしを作っておくと便利です。この柱は、あの柱の1/3の高さとかも設定できるようになります。
洋裁CADの世界では、最終的に線だけが「結果」として印刷されます。 しかし、この世界は線だけではうまく構成できません。そこで線を引くために便利な、補助的なものも生み出せるようにしました。
これら全てをまとめて「要素」と名前を付けます。洋裁CADの世界を構成するものはすべて要素であり、すべての要素はこの世界のルールに従います。
【まとめ】
洋裁CADの世界はさまざまな「要素」で構成されている。
世界には時間の流れのようなものがあり、要素は順番に作られる。
要素には親子関係があり、子は先に生まれた親の遺伝を受ける。(親は子の遺伝を受けないが、子に変更されることはある。)
全ての要素はこの世界に適用されるルールに従う

不完全な神様のための救済ルール

上のルールだけだと、洋裁CADは全く使いものになりません。 作る前にいろいろ考えて、要素を作る順番や要素の影響する関係を完璧にしておかねばならないからです。
そんなことは無理な話です。
そこで、追加のルールを設けます。
「要素の生まれる順番を変更できるようにする」
積木世界で家を引越しさせることになった。でも一個の積み木を移動させたら...
積木の世界

さて困った。もう少し柱を動かしたら家が崩れてしまいます。
解決策として、基礎を追加することにします。
積木の世界

でも先に定めたルールで後に生まれた積木は先に生まれた積み木の下(親)にはなれません。
そこで、「要素の生まれる順番を変えることができる」、というルールを追加します。タイムマシンですね。
基礎を一番最初に生まれたことにして、柱ブロックを「基礎の上に乗せる」という親子関係を付ければ、家の引越しは基礎を移動させるだけで簡単にできるようになります。
しかしこれだけでは、重大な問題が起きます。

現実の世界でタイムマシンが実現できない理由として、「子供が自分の生まれる前の時間へ移動して親を殺す」というパラドクスがあります。 親を殺したら殺す自分も存在できない。存在しない自分が親を殺すことはできない。
だからタイムマシンは作ることができない。

この問題を解決するために、洋裁CADの世界では「子は親を変えることができる」というルールを設けます。
子が親より先に生まれる位置に移動してしまった場合、とりあえずその子供は「エラー」となり、洋裁CADの世界に生まれられないようにします。
神様がこの子の親を変えて、子よりも先に生まれた親に変更すれば、再びこの子供は洋裁CADの世界に復帰できることとします。

こうすることで不完全な神様対策をすることができました。
この対策は一方でこの世界を複雑にしているのですが...しかたない対策だと考えています。
【まとめ】
「神様」は本当は人間なので完全ではない、後からリフォームも必要になる。したがって救済ルールが必要。
神様は要素の生まれる順番を変えることができる。
神様は子供の親を変えることができる。

CAD画面に見る世界観

CADで原型製図

ではもう一度CADの画面を見てみましょう。
左に1,2,3...と並んでいるのが要素です。要素は生まれると順番に0,1,2,3と名前を付けられてゆきます。
最初の1,2,3は数値要素です。1は「胸囲」という説明がついている通り、胸囲の数値が入っています。
2,3はウエストと背丈の寸法。
4番目は点です。4番目なのに番号が0です。最初に作ったのはこの点だったのですが、作る順序を変えて、3の後にしたのです。
CADが画面を再構築する場合は、この要素の並び上から順に処理してゆきます。なので、点は三つの数値が生まれたのちに生まれることになります。
4の数値「身幅長さ」は0胸囲の子になります。文化式の作図法では身幅長さ=胸囲÷2+67mmとしています。4はこの計算をしています。
こんな感じで各要素が複雑な親子関係を結びながら、最終的にはきれいにまとまった形を形成しているのです。

最終更新日: 2014-06-09 21:49:56

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