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型紙の製作1/2
ここでは標準的な製図作業の流れを学びます。
既に作ってあるワンピースの型紙を開き、製図の手順を確認した後、数値を書き換えて自分サイズに変更します。その後デザインを3Dを確認しながら変えてみましょう。
ファイルの読み込み
ワンピースフォルダーの中のAラインワンピースを呼び出します。
標準的な製図方法
このワンピースの型紙は、洋裁CADの標準的な製図方法で描かれています。
この製図手順を見てゆきましょう。
練習0で学んだように、洋裁CADは「線をひく手順を記述」してゆきます。また、型紙を構成しているものは「要素」です。
ウインドウ左側の要素リストを上から順に読んでゆけば、この型紙がどういう手順で描かれているか、知ることができます。
大まかにいうと、
1.人体寸法の読み込み
2.原型の読み込み
3.制御パラメーターの準備
4.原型の展開
5.前後身頃の製図
6.襟と袖部品の読み込み
の順で製図しています。これは、紙を使って普通に型紙を作る手順とほぼ同じです。
順番に見てゆきます。
要素が少ないですが、これはグループなどでまとめられているためです。
メニューの関連図をクリックすると要素関連図を見ることができます。このワンピースの場合は下図のような関係になっています。
人体寸法が変わると、原型型紙が変わり、さらに前後の身頃、襟、半袖の順に変わる構造になっていますね。
要素の順序変更
リストの一番下にある未定義要素を左クリックして、ポップアップメニューの順序変更を選びます。
テキストボックス上にマウスを載せてホイールを動かし、矢印が「制御パラメーター」になるまで回します。
ショートカットとして、ALTキーを押しながら移動したい要素をドラッグ&ドロップで動かすこともできます。
「順序変更実行」ボタンを押すと、下の図のように、未定義要素が「制御パラメーター」の上へジャンプします。そして、原型型紙だけが表示されています。
これは、要素1までの作業時点へ移動したことを意味しています。「原型型紙」以下の薄い字で書かれているのは「まだ作業していない要素」です。
洋裁CADは未定義要素以下の作業はしないことになっています。
要素の表示と非表示
原型型紙要素の左端のアイコンが、
とありますが、これは表示の意味です。これを非表示にしてみましょう。
をマウスでクリックします。するとアイコンが
に変わり、原型型紙が非表示にされます。動画のようにメニューからでも変更できます。
外部グループ参照ファイルの挿入
CADは要素を上から順番に処理してゆきます。順番に何をしているのか見てみましょう。
まず人体寸法と原型型紙という外部グループ参照要素を定義しています。
よく使うパターンなどは、あらかじめ作って置いておき、必要な時に呼び出して変形させて使います。
さきの学習で学んだように、原型型紙の寸法を人体寸法の中の数値に差し替えて、原型を変形させています。
制御パラメーター
未定義要素を制御パラメーター要素の下に移動させてください。
制御パラメーターという名前の要素は、グループ要素です。左のホルダーマークをクリックするとグループの中に入っている要素が表示されます。
このグループの中では、製図で使う色々な数値を格納しています。縫い代など複数の見頃で使う数値を定義しておけば、後から縫い代の大きさなどを、まとめて変更することができます。
原型の展開
次に原型の展開を見てみましょう。これは原型の一部分を移動する作業をしています。服によって展開する部位は異なりますが、このワンピースの場合は、背中と胸のダーツを移動させています。
展開前
展開後
「原型展開」要素もグループ要素で、いくつかの要素をまとめています。
フォルダマークをクリックして展開しますが、全てのグループ要素や外部グループ参照要素の中身を展開したい場合は、メニューのグループ展開をクリックします。
身頃の製図
未定義要素を後身頃の下に移動してください。
前身頃要素の中では前身頃の製図、後身頃要素の中では後見頃の製図をしています。
襟と袖の読み込み
未定義要素を一番下まで移動させます。
3Dというグループ要素は、3D表示のための準備です。
半袖要素は原型型紙と同じような外部グループ参照要素です。あらかじめ作っておいた半袖の型紙を呼び出して寸法を当てはめて今作っている型紙にぴったり合う形状に調整しています。フラットカラーも同様です。フラットカラーの上にある衿ぐり要素は、襟ぐり形状を製図しています。この衿ぐりに合わせてフラットカラーを変形させています。
長袖の読み込み
長袖も追加で呼び出してみましょう。
下の動画は、外部グループ参照要素を定義したのち、袖ぐり、袖の長さ等のパラメーターを上書きして身頃に合致したサイズに変えています。
サイズ変更
このワンピースを自分サイズに変更してみましょう人体寸法要素を再定義して、読み込むファイルを先の学習で作った自分の寸法のファイルと差し替えます。
これで自分サイズのワンピースに変更できました。
同様に原型型紙を女性用から男性用に差し替えると男性体型のワンピースにもなります。
デザイン変更
裾や袖の長さなど後から変更して数値を先に定義しておいてその数値を使って製図しておけば、数値を変えるだけで目的の形状を変更することができます。このワンピースでは裾だけや半袖の長さ襟ぐりの開き加減などを変更できるようにしています。
3Dを使ったデザイン変更
着る人の体を3Dスキャンして洋裁CADに取り込めば、CADの中で製図したパターンを着せ、着せた状態でデザイン変更することもできます。
これで今回の学習は終了です。次の学習では、このワンピースを紙に出力します。
最終更新日: 2021-05-16 06:50:34
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