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数値要素の解説
このページでは、洋裁CADで使う数値要素について解説しています。
数値要素について
数字関連を扱う要素です。この要素は表示されません。線や点要素を作るときの補助として利用します。
数値要素の種類
6つの種類があります。
計算値
数値を格納するほか、数値同士の計算をすることが出来ます。
点点距離
二つの点の距離を格納します。
点点角度
二つの点がなす角度を格納します。
点線距離
点と直線の距離を格納します。
不定値
繰り返しと組み合わせて使います。
繰り返し
不定値と組み合わせて使います。
設定した条件に合う線をひく場合などに使います。
計算値
数値を格納します。
下の例では定義値として必要となる数値を入れています。わざわざ要素を定義しなくても問題ないのですが、
キーとなる数値(バスト、ウエスト、背丈など)を入れておくと、後日要素リストを読みかえすときに理解しやすくなります。
また、下の動画のように後で変更したい数値を入れておけば、スムーズに作業ができます。
型紙リーダーのデータ作成時は動かしたい寸法を数値要素に入れておきます。
他の型紙ファイルからktd形式のまま参照ファイルとして読み込み、動かしたいときも、同様に数値要素に入れておきます。
同じ数値を複数の要素で共有する場合も、共有する数値を計算値に入れておくと便利です。
下の動画では、縫い代の幅を計算値に入れています。
こうしておけば、計算値の値を変えるだけで複数の縫い代幅を変更できます。
数値同士を計算することもできます。
下の動画は、ダーツの角度を計算して、ダーツを閉じるための角度を計算しています。
点点距離
2点間の距離を格納します。
点点角度
二つの点がなす角度を格納します。
どちらの点を先に指定するかにより、角度が180度変わります。
角度は、時計3時の方向が0度になります。12時の方向は90度、9時:180度...です。
点線距離
点と直線の距離を格納します。定義値に曲線を入れるとエラーになります。
距離は、点から直線に垂線をひいた長さになります。
不定値と繰り返し
不定値と繰り返しは組み合わせて使います。
判りにくい要素ですが洋裁CADの特徴となる便利な機能を発揮します。
袖ぐりの長さに合わせて袖山を描くときなどに使います。
洋裁CADは基本的に、要素リストに載っている要素を上から順番に解釈して描画してゆきます。
繰り返し要素があった場合、設定された条件(例えば2つの曲線の長さが同一か)を満たしているかをチェックします。
満たされていない場合は、設定された不定値の位置まで処理を差し戻します。
この時洋裁CADは不定値の値を少しだけ変更します。
不定値-繰り返しの間で設定条件に不定値が影響を与えるような処理を行います。
不定値-繰り返し間の処理を何度も行って、条件が満たされると処理を下の要素に移します。
繰り返し処理は、数百回行います。それでも条件が満たされない場合は、メッセージが出て繰り返し処理を強制的に止め、処理を下の要素に移します。
下の例は、間隔100mmの点の間に、長さ120㎜の曲線を描くように設定しています。(不定値は曲線の片方の角度に設定されています)
この条件のまま、点の間隔を広げてゆき、間隔120㎜以上になると不定値にどんな値を入れても条件が満たされなくなります。
動かす数値を2つ以上持たせたい場合
不定値と繰り返しは1対で組み合わせます。ですので、基本的に動かすのは一つの数値だけになります。
複数の数値を変えたい場合は、数値要素を追加して、不定値を計算に取り込みます。
下の動画は、曲線の始角と終角を同時に変更する場合の例です。
複数の不定値-繰り返しセットを使う場合の注意点
不定値-繰り返しの間では数百回の繰り返し処理を行います。複数の不定値-繰り返しセットを入れ子構造にしてしまうと、繰り返し処理が数万回に膨れ上がり、
処理が極端に遅くなる場合があります。
リリース17から、不定値-繰り返し要素要素は全て同じグループ内に入っていることが条件となりました。別のグループに分かれているとエラーになります。
意図と異なる結果になる場合の対処方法
場合によっては、意図と異なる形状の線になってしまう場合があります。
下の画像、左が意図したもの、右は意図しないものです。
どちらも曲線の長さを120になるように不定値の値を調整しており、線の長さは120ですので、CADとしては正しく結果を出しています。
解が複数ある場合にこのような結果が出ます。
不定値の初期値を変更して再計算することで、この不具合を回避できます。
最終更新日: 2021-05-21 07:37:41
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