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練習3 型紙の制作 1/2
練習3と4で標準的な製図作業の流れを学びます。
すでに作ってあるケープの型紙について製図の手順を確認したのち、型紙を差し替えてサイズを自分用に変更します。
その後デザインを自分の好みに変えてみましょう。
ファイルの読み込み
洋裁\ケープ\以下に置いてあるケープ.ktdを読み込みます。
下の型紙が現れます。
標準的な製図方法
このケープの型紙は、洋裁CADの標準的な製図方法で書かれています。
この製図手順を見てゆきましょう。
練習0で学んだように、洋裁CADは「線をひく手順を記述」してゆきます。また、型紙を構成しているものは「要素」です。
ウインドウ左側の要素リストを上から順に読んでゆけば、この型紙がどういう手順で描かれているか、知ることができます。
大まかにいうと、
1.原型の読み込み
2.原型の展開
3.変更に使う数値の準備
4.各型紙の製図
の順で製図しています。これは、紙を使って普通に型紙を作る手順とほぼ同じです。
順番に見てゆきます。
要素の順序変更
リストの一番下にある未定義要素を左クリックして、ポップアップメニューの順序変更を選びます。
テキストボックスに9を入力するか、テキストボックス上にマウスを載せてホイールを動かし、矢印が9になるまで回します。
ショートカットとして、ALTキーを押しながら移動したい要素をドラッグ&ドロップで動かすこともできます。
「順序変更実行」ボタンを押すと、下の図のように、未定義要素が9の上へジャンプします。そして、点しかなくなってしまいました。
これは、要素1までの作業時点へ移動したことを意味しています。1以下の薄い字で書かれているのは「まだ作業していない要素」です。
洋裁CADは未定義要素以降の作業はしないことになっています。
要素1の左端のアイコンが、
とありますが、これは非表示の意味です。これを表示してみましょう。
をマウスでクリックします。するとアイコンが
に変わり、要素1が画面上に表示されます。
これで要素1の原型が表示されました。
参照型紙の挿入
作業手順を見てみましょう。
要素0は点を作っています。
要素1はあらかじめ作っておいた原型ファイルを読み込んでいます。
型紙を読み込む際には基準となる点が必要です。ですので、まず点を置き、その点を基準として型紙を読み込む順番になっています。
原型の展開
再び未定義要素を順序変更して9の下に移動してください。9を入力すると移動します。
線が見えない場合は、要素9の非表示を表示にします。
脇にあったダーツが肩に移動しました。要素9では原型を展開する作業をしています。
ところで要素9のグループとはなんでしょうか?
グループ要素
グループ要素は袋のような要素で、仲間の要素をひとまとめにする役割があります。
要素9の左にある「>」アイコンをクリックしてみてください。すると...
グループが展開され、内に入っていた2,3,4,5,6,7,8の要素が現れました。
要素の数が増えると見づらくなるので、こうして仲間をひとまとめにしてグループごとに分けます。
また、グループごとに色や印刷番号を指定したり、非表示にしたりすることができるため、とても便利です。
左上の「グループ展開」ボタンで全てのグループを強制展開することもできます。
ただし、強制展開中のグループ内要素の順序変更はできません。グループ内の要素の順序変更は、上記の方法で展開してから行ってください。
身頃の製図
未定義要素を47の下に移動してください。
グループ要素47の中に含まれているいる要素は、前身頃を書いてることがわかります。
未定義要素を順に移動させ、一番最後の要素の下まで移動してみましょう。
各グループで1つの型紙を書いることが判りますね。
各グループの要素定義フレームを開くと、各グループで異なる印刷番号が割り当てられていることがわかります。
この印刷番号で印刷する型紙を分けています。
以上で標準的な製図手順を見てきました。
1.原型の読み込み
2.原型の展開
(3.変更に使う数値の準備)
4.各型紙の製図
に作業していることがお分かりいただけたと思います。3についてはこのあと改めて確認します。
原型の差し替え
洋裁CADの大きな特徴の1つとして原型の差し替え機能があります。
今まで見てきたケープを実際に作るとこんな感じ
この原型を前回の練習で作ったあなたサイズの原型と差し替えてみましょう。
要素1、ファイル参照を定義して、「洋裁\原型\」ホルダー内にある前回の練習で作ったktsファイルに差し替えます。
原型の大きさが変わりましたね。定義ボタンを押すと差し替え完了。ケープのサイズも原型に従って変化しています。
異なる原型間でも差し替えは可能です。文化式男子→文化式女子というようなこともできます。
洋裁CADは今まで出来なかった、「型紙の共有」を可能にします。体型の違った人でも、性別が違っていても共有が可能です。
ただし、デザイン的に成り立っているか否かは人が判断する必要があります。
体型が大きく違っていたり、原型の種類によっては形状がおかしくなったり、エラーが起きて線が消えてしまう場合があるので要注意です。
ktsファイルとktdファイルの違い
kts形式のファイルは形状の変更ができません。自分専用の原型型紙などはこの形式で作って使うとよいでしょう。
ktd形式は、参照ファイルとして読み込んだのちでもパラメーターの変更が可能です。
いろんな体型の人でもつじつまが合うか、確認しながら製図するときはこちらを使うとよいでしょう。
参照ファイルとして読み込んだktdファイルは、パラメーターを変えても保存はできません。再読み込みすると元のサイズに戻るので、注意が必要です。
また、ktd形式の原型サイズを変更して保存すると、参照している服の型紙全てのサイズが変わってしまいます。この点も注意が必要です。
サイズ展開によるサイズ変更
サイズ展開表に登録しておくと、決まった数値の服に変形させることが出来ます。ktd形式の原型を登録しておけば、原型サイズも変えることが出来ます。
下の動画は登録済の7号から13号サイズにケープを変形させています。
デザインの変更
サイズを変えたら、今度は自分好みに各部を変えてみます。
上の方で飛ばした、「変更に伴う数値の準備」をここで確認します。
要素11から46は、それぞれ変更するための数値を格納しています。
11は、前後の身頃の裾部分の角度を決める数値です。90°が入っていますが、入れ変えてみましょう。あまりかけ離れた数値を入れると壊れてしまいますよ。
12は肩から袖への角度を決めています。20°が入っていますが、小さくするとケープは広がり、大きくするとすぼまります。
132はケープの袖丈の調整をしています。380が入っています。この数値をケープの袖丈としています。
各要素の数値を変えると、下のようにデザインを変えることが出来ます。
今回の説明は、「要素の性質を変えてデザインを変える」ものです。
直線を曲線に変更したり、角を丸めるといった変更もできますが、「要素を差し替えたり挿入する」作業が必要になるので難易度が上がります。これは以降の練習で説明します。
これで練習3は終了です。
ファイルをktd方式で別名保存しておいてください。
次はケープの型紙をPDFファイルに出力します。
最終更新日: 2020-06-16 17:00:17
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