身頃原型の作り方
三角原型の原理は他のページで紹介しました。こちら
このページでは人の胴体部分を包む身頃原型の実際の作り方を紹介します。
CADを使って製図する
三角原型を実際の世界で作ることは困難です。人体を3Dスキャンしてパソコンのアプリに取り込み、アプリの中で採寸、製図をします
ここでは三角原型を実装するために作ったマスカットCADを使って三角原形を製図していきます
※マスカットCADはこのページ作成時点では開発中で、未公開です。
ボディの準備
採寸するためには3Dスキャンした人体の3Dデータが必要になります。
スキャンしたデータはそのままでも使えますが、凸凹が多かったり左右非対称だったりねじれたりするので、左右非対称化してボディを作ります。
ボディを作るアプリはフリーソフトとして公開していますデジタルトルソー製作アプリ
ボディに基準点基準線を設定する
ボディをCADに取り込んだら、ボディ上に主要な基準点と基準線を設定します。
設定する基準点はバストポイント、サイドネックポイント、ショルダーポイント、フロントネックポイント、バックネックポイント、肩甲骨点、前後腋点、脇下点になります。
基準線は、中央線、シルエットライン(正面から見てシルエットとなる線)、バストライン、アンダーバストライン、ウエストライン、ミドルヒップライン、ヒップライン
になります。
ボディと基準線基準点を設定したらこのデータファイルを保存し、型紙ファイルから読み込んで使います。こうするとボディを個人ごとに差し替えることができます。一度型紙データファイルを作ったら、ボディファイルを差し替えるだけで、他の人の原型型紙を作ることが可能になります。
基準点の設定
ボディの基準点とは別に、原型型紙の基準点を設定していきます。この時ボディの基準点や基準線を参照して作るようにしておきます。こうしておけばボディファイルを差し替えることで、基準点が自動的に移動するようになります。
ボディの基準点はボディの表面上に設定しましたが、この基準点を用いてモデリングすると、人体とのゆとりがなくなってしまいます。ですので人体からオフセットした位置に基準点を設定するようにします。
バストレベルではバストサイズより長さで8から12cmくらいゆとりが出るように点を配置します。ウエストレベルでは6cmくらい、ヒップレベルで12cmくらいですが、この値は後から変更することが可能です。
※バスト断面。青線がメジャーで採寸するライン。赤線がオフセットした基準点を結んだライン。赤線の長さから青線の長さを引いた残りがゆとり長さになる。
基準点は、基本的にはバストトップなどの頂点、ダーツの始点と終点になる位置、体表面の直立の大きい部分に設定しました。その上でいろいろな体格の人に対して原型をモデリングし、経験的にどの体格でも問題なく製図できるよう修正しています。
3D三角形の設定
3D上の基準点をつないで3D三角形を設定し、三角形で体を包み込むようにします。バストトップなどの頂点がある場合は、その頂点から放射状に稜線が伸びるように三角形を設定します。肩などの曲率は大きいところは、体の曲がり具合に沿って細長い三角形を並べてゆきます。
2D製図
3次元上に並べた三角形を二次元の平面上に並べます。襟ぐりや袖ぐりは直線の集まりになっているので、滑らかにつなぐ曲線を描きます。
わかりやすいように三角形を平行移動回転移動させます。
外形線を残して不要な線を消します。
バーチャルフィッティング
できた原型型紙を再び3次元に持ち込み、縫い合わせ設定を追加した後、3次元空間の時間を進めれば、バーチャルフィッティングを行うことができます。
ボディの差し替え
三角原型のモデリングは複雑ですが、作っておけば、ボディを差し替えるだけで原型の形状が変わり、差し上げたボディにフィットする形状に自動的に変更することができます。
最終更新日: 2024-08-17 11:15:46