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図柄印刷機能の概要
このページでは、洋裁CADの図柄印刷機能の概要を説明しています。
図柄印刷機能とは
洋裁CADで製図したパターンに画像イメージをはめ込み、パターンを画像ファイルとして出力します。
紙の型紙を作る手間を省き、個性的な服を作ることが可能になります。
従来の印刷では、外形、縫い代、記号などの情報が書かれた紙を出力していました。
図柄印刷では、縫い代線、ノッチと図柄を出力します。出力したものが表面に出てくるので、記号等の印刷は出来ません。
図柄印刷ではプリンターを使わず、布プリントサービス業者に画像データを送り、プリント済の布を送ってもらいます。
また、3Dパターンに貼り付けて、バーチャル世界に挿入することもできます。
長所と短所
図柄印刷の長所と短所をまとめると、大体こんな感じになります。
長所
紙の型紙をなくすことが出来ます、型紙の切り貼り、保管などの手間がなくなります。
同じものを複数作るときは、いちいち型紙を写す作業がないので効率が上がります。
オリジナルのテキスタイルを作れます
気に入った柄の布をを探しに出掛けたり、多めに買ってストックしておく必要がありません。
パターンの好きな位置に柄を置けるので、布を効率的に使えます。
短所
印刷は布印刷サービスと利用するので、仕上がりに時間がかかります。
注文すると修正することが出来ません。
記号などの情報を出力できないため、不便です。
洗濯すると縮む素材にプリントする場合は、あらかじめ縮み分伸ばしてプリントする必要があります。
既成の柄に比べ高価になります。
仕上がりをあらかじめ見ることが出来ない為、手触りや色合いが想像と違っている場合があります。
素材によっては色落ちします。
図柄印刷の機能
パターンに画像をはめ込むために、下の5つの機能を用意しています。
画像をパターンに合わせて変形する
下の画像は、地球儀キャスケットのパターンです。世界地図を変形させることで、図柄の連続したイメージパターンを作ることが出来ます。
閉じた線で画像を切り取る
下は、襟周りに貼り付ける画像です。洋裁CADで閉じたY字型の範囲を描き、黄色い画像を切り抜きました。
線に沿って画像を並べる
下は服の裾のラインに沿ってイメージを並べています。
画像をまとめて身頃イメージを作る
下は複数の画像とパターンを組み合わせてイメージパターンを作っています。
テキスタイルプリント用のイメージファイルを作る
上記機能で作ったイメージパターンを並べた巨大画像ファイルを作ります。このファイルを布に印刷します。
縫い代線とノッチ
画像だけでは縫製に支障が出るので、縫い代線とノッチも画像に重ねて出力します。
左は製図したスカート。内側の線は外形線です。外側は縫い代線。
右はこれを画像に出力したもの(縮小しています)。
外形線は印刷せず、代わりに要所に目印となるノッチを出力します。ノッチの位置は自動的に決まりますが、ノッチの長さや色は指定できます。
事前準備
布にパターンを印刷するには、プリントサービス会社に依頼する必要があります。
データを作成する前に依頼先を決め、DPIと使う布を選んでおきます。
DPIはドット・パー・インチ、1インチ当たりに並ぶ点の数を示す値です。
DPIの値はサービス会社によって違います。画像作成時にDPIが必要になります。プリントと異なるDPI値でデータを作ると、正しいサイズで印刷されません。
下の図のように、1インチの中に10×10の点を使って印刷をした場合、DPIは10になります。
DPI値は大きいほど細くきれいになりますが、布に印刷する場合は織目もあるので必要以上に大きくしてもにしてもあまり差は出なくなるようです。
紙に印刷する場合は300DPI以上が普通ですが、布であれば150DPIくらいで十分のようです。
任意のサイズ(mm)が何ドットになるかは、以下の計算式で求められます。
ドット=DPI÷25.4×サイズ
サイズ100mmのパターンをDPI=200で画像にすると、
200÷25.4×100=787.4
でおよそ788ドットになります。
布の選定は使う用途によって決めますが、素材によって色移り、洗濯後の縮みが生じるので注意が必要です。
ポリの布に昇華プリントしたものは色移りがないそうです。
綿は洗うと縮みます。洗濯して使う場合はどれだけ縮むかを調べておき、縮む分だけ画像を伸ばして印刷します。
どれだけ縮むかは、事前にサンプルプリントを注文して洗って確認します。
私がプリントした綿生地は、洗ったら縦糸方向に約5%、横糸方向はほぼ0%縮みました。
この数値はデータ作成時に使うので記録しておきます。
縮み量(%)は以下の式で計算します。
縮み量(%)=(元の長さ-洗濯後の長さ)÷元の長さ×100
上の写真の布の縦糸方向の場合、
元の長さ=151
洗濯後の長さ=143
なので
縮み量(%)=(151-143)÷151×100=5.3%
になります。
主な布プリントサービス業者を調べて表にしましたので参考にされてください。(2018年調査)
あくまでも参考です。価格は布によって変わるので、安ければよいというわけではありません。
会社 | URL | ファイル形式 | 推奨解像度(DPI) | データ形式 | 価格(m) | 布種類 |
ファブリックデザイン | https://fabric-design.meetmygoods.com/ | JPEG、PNG、GIF、BMP、AI、PDF、PSD | 200 | 2600~ | 綿麻ポリ | |
リアルファブリック | http://realfabric.jp/ | jpg,psd,tif,png,gif | 200 | RGB | 1700~ | 綿ポリ |
コントラード | https://www.contrado.jp/ | JPG, PNG ,TIFF | 不明 | 不明 | 2300~ | 108種類 |
オリキジ | https://orikiji.info/ | psd,ai,jpg,tiff | 300以上 | 3300~ | ポリ | |
ベビーロックプリント | https://www.babylock.co.jp/dps/ | TIFF | 150~200 | RGB | 4000~+α | 綿ポリ |
HappyFablic | https://happyfabric.me/ | 不明 | 不明 | RGB,CMYK | 2900~ | 綿ポリ |
coromoza | https://za.coromo.jp/textile-print | TIFF、PDF、EPS、JPG、BMP | 150~200 | RGB,CMYK | 3000くらい | 持ち込み可 |
洋裁CADで出力するファイル形式はPNG、データ形式はRGBです。これらに対応していない業者さんへ依頼する場合は、何らかの方法でデータを変換する必要があります。
型紙製図
洋裁CADで普通に作成したものを使います。すでに作ったものも使えます。
型紙の外形、縫い代を書いておく必要があります。
具柄を変形させる場合は、変形後の外形線、縫い代線も用意します。
画像の準備
まず、使用する画像イメージファイルを用意します。
べた塗りする場合は、こんな感じのものを作っておきます。
画像を並べる場合は、下のようなものを用意します。
画像を並べる機能はCADについているので、リピートする柄は1つだけあればよいです。
画像を重ねて使う場合が多いので、下の画像が見えるように余白部分は透明に設定しておきます。
絵画などのイメージを貼り付ける場合は、美術館サイトで著作権フリーの画像をダウンロードできます。お気に入りの絵を探してみましょう。
イメージを身頃全体に貼り付ける場合は、なるべく大きなサイズのファイルを用意します。
目安としては、10㎝四方の大きさに印刷する場合、1000ピクセルくらい、1mであれば10000ピクセルくらいあればきれいに出力されます。
小さな画像を用いると、ぼやけて印刷されます。
用意した画像は、「\洋裁\テキスタイル」ホルダにまとめて入れておくとよいでしょう。
DPIとスケールの設定
始める前に、作成するデータのDIPとスケールを設定しておきます。これらの値は、作成中に変更してはいけません。
変更する場合はイメージの作成を最初からやり直します。
メニューの「印刷-布印刷-布印刷設定」で設定ウインドウが開きます。
イメージの作成方法
事前準備ができたら、イメージ作成作業に入ります。別ページで説明していますので順番にお読みください
範囲イメージの作成
配列イメージの作成
変形イメージの作成
身頃イメージの作成
テキスタイルプリント用イメージファイルの作成
最終更新日: 2020-06-18 18:11:47
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